ステージ4の胃がんは治る?

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もくじ

ステージ4の胃がんは、転移を伴う進行期の状態であり、治療方針は初期がんとは大きく異なります。
一般に治癒を目指すことは難しいとされますが、薬物療法や放射線治療の進歩により、病勢のコントロールや症状緩和を目的とした治療が行われています。

このページでは、ステージ4の胃がんの生存率の考え方、治療の基本、転移がある場合の治療方針について、整理してお伝えします。

ステージ4の胃がんが治る可能性はあるのか

ステージ4の胃がんは、がんが腹膜や肝臓などへ広がっている状態で、治癒(完治)を目指す治療が難しい段階とされています。
国立がん研究センターの院内がん登録生存率集計結果によると、ステージ4胃がんの5年実測生存率は6.2%、10年実測生存率は3.4%と報告されています。

参照元:国立がん研究センターの院内がん登録生存率集計結果(https://hbcr-survival.ganjoho.jp/search)
上記URLより胃癌ステージ4で検索、2015年~5年実測生存率、2012年~10年実測生存率の数値。実測生存率は、死因に関係なく、すべての死亡を計算に含めた生存率です。

薬物療法を中心とした治療で腫瘍の進行を抑えたり、症状をコントロールしながら生活の質(QOL)を保ったりすることは十分検討できます
治療の目的や進め方は、病状や体調、治療への反応を踏まえて個別に判断されます。

ステージ4の胃がんに対して
行われる治療の種類

化学療法(抗がん剤治療)

化学療法は、抗がん剤を用いて全身に広がったがん細胞の増殖を抑える治療です。
ステージ4の胃がんの多くは、化学療法が治療の中心となります。複数の薬剤を組み合わせて使用することもあり、治療効果や副作用の状況を見ながら内容が調整されます。

分子標的薬・免疫療法

胃がんの中には、特定のタンパク質など、分子を標的とした薬剤が有効とされるタイプが存在します。
HER2陽性胃がんなどでは、分子標的薬が治療の選択肢となることがあります。一部の症例では免疫療法(免疫チェックポイント阻害剤)も検討されます。
これらの治療は、がんの性質や検査結果を踏まえて適応が判断され、従来の化学療法と組み合わせて行われることもあります。

放射線治療

放射線治療は、胃がんそのものや転移による症状を和らげる目的で行われます。
出血や痛み、通過障害など、生活に支障をきたす症状がある場合に検討されることが多く、局所の症状を抑えることで日常生活を保ちやすくします。
全身治療と併用されるケースも少なくありません。

手術が検討されるケース

ステージ4の胃がんでは、根治を目的とした手術は原則として行われません。
ただし、出血や通過障害などの症状が強い場合には、症状の緩和を目的とした手術が検討されることもあります。これにより、食事が摂りやすくなるなど、生活の質(QOL)の改善につながるケースもみられます。

緩和ケア

治療内容に関わらず、ステージ4の胃がんでは早期から緩和ケアを取り入れることが重要です。
痛みや吐き気、食欲低下、不安などの症状に対して適切な対応を行うことで、治療を続けやすくなります。

ステージ4の胃がんが
転移しやすい場所

ステージ4の胃がんは、胃や周囲のリンパ節にとどまらず、離れた臓器や腹腔内にも転移している状態です。
転移する場所によって現れる症状や治療の考え方が異なるため、転移部位を正確に把握することが治療方針を考える上で重要になります。

血行性転移

血行性転移とは、がん細胞が血液の流れに乗って別の臓器へ移動する転移を指します。胃がんでは、肝臓、肺、骨などへの転移が比較的多くみられます

  • 肝臓への転移…倦怠感や食欲低下、腹部の張りなどの症状が出ることがあります。進行すると、黄疸や腹水もみられます。
  • 肺への転移…咳や息切れ、胸の違和感などが出現することもあります。
  • 骨への転移…腰や背中、関節の痛みが出やすく、骨折のリスクが高まる場合もあります。

血行性転移が確認された場合、治療の中心は全身に作用する薬物療法になります。
痛みや臓器圧迫など症状が強い部位に対しては、放射線治療を併用して症状の軽減を図ることも検討されます。

リンパ行性転移

リンパ行性転移とは、がん細胞がリンパ管を通ってリンパ節へ広がる転移を指します。
胃がんでは、胃の周囲や腹部のリンパ節、さらに鎖骨周囲のリンパ節にも転移がみられることがあります。

初期には自覚症状が少ない場合もありますが、リンパ節が大きくなると腹部の違和感や圧迫感が生じます。
さらに進行すると周囲の臓器や神経も圧迫され、痛みや不快感につながります。リンパ行性転移がある場合も全身治療を基本としつつ、症状の原因となっている部位に対する局所治療を組み合わせることが検討されます。

腹膜播種

胃がんに特徴的な転移のひとつが腹膜播種です。腹膜播種とは、がん細胞が腹腔内に散らばって腹膜に広がる状態を指します。
腹部の張りや腹水の貯留、食事量の低下などがみられ、日常生活への影響も大きくなります。

治療は主に薬物療法が中心になりますが、腹水や痛みなどの症状に対して支持療法を併用し、生活の質(QOL)を保つことも重要です。

ステージ4の胃がんでも局所を
狙った治療は検討できる

ステージ4の胃がんは、全身に作用する薬物療法が治療の中心になりますが、転移が限られている場合や、特定の病変が強い症状の原因となっている場合は局所を狙った治療が検討されることもあります。局所治療の代表的な方法が放射線治療です。

放射線治療は、腫瘍のある部位に放射線を照射し、がん細胞の増殖を抑えることを目的とします。出血や痛み、周囲臓器の圧迫による症状など、生活に影響を及ぼす症状の軽減を目指して行われます。

近年では、画像診断技術の進歩によって精度の高い放射線治療が行われるようになってきました。
そのひとつが「トモセラピー」で、CT画像を用いて腫瘍の位置や形状を詳細に把握しながら放射線を照射する治療法です。複数の方向から放射線を当てることで周囲の正常な組織への影響を抑えつつ、腫瘍に必要な線量を集中させるのが特徴です。

こうした局所治療は薬物療法と並行して行われることもあり、全身治療を続けながら症状の改善や局所制御を目指すという位置づけです。治療が適しているかどうかは、転移の数や部位、全身状態などを踏まえて慎重に判断されます。

相談先の選び方

ステージ4の胃がんは、治療の選択肢が限られる一方で病状や症状に応じた対応が求められるため、どの医療機関に相談するかが治療の進め方に大きく影響します。重視したいのは、次のポイントです。

  • 再発や転移を含む進行胃がんの治療経験が十分にあるかどうか
    進行がんの診療実績がある医療機関では、現実的な治療方針や見通しについて説明を受けやすくなるでしょう。
  • 画像検査や内視鏡検査の結果をもとに、転移の状態や症状との関係を丁寧に評価しているか
    転移部位や病変の広がりを正確に把握することで、全身治療と局所治療をどのように組み合わせるかを検討しやすくなります。
  • 通院のしやすさや、医療者と継続的に相談できる体制が整っているか
    治療が長期に及ぶ場合を想定すると、治療と生活を無理なく両立できる相談先を選ぶことが、治療を続ける上での大きな支えになります。

治療方針に迷いがある場合には、セカンドオピニオンを受けられる医療機関に相談することも有効です。別の視点から治療の選択肢を整理できるかもしれません。

Summary

ステージ4の胃がんという治癒をめざすことが難しい段階であっても、薬物療法を中心とした治療や症状に応じた局所治療、緩和ケアを組み合わせることで、生活の質を保ちながら治療を続けられるケースは多くあります

治療の目標や優先したいことは、病状や体調の変化によって変わっていきます。医療者と十分に話し合いながら、ご本人の思いを尊重し、その時点で最適と考えられる治療やサポートを一緒に選んでいくことが、ご本人にとってもご家族にとっても大きな安心感につながるはずです。

監修
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医療法人社団 愈光会 Clinic C4では、がんの進行度や転移の状況に関わらず、目に見える病変がある限り、医学的根拠に基づいた放射線治療の可能性を追求しています。
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略歴
  • 1980年 灘中学校、灘高等学校を経て東京大学医学部医学科卒業
  • 1980年6月 東京大学医学部附属病院放射線科研修医
  • 1981年1月 東京大学医学部附属病院放射線科助手
  • 1985年7月 都立豊島病院放射線科医員
  • 1987年4月 東京大学医学部附属病院分院放射線科講師病棟医長
  • 1988年7月 同上 英国 Royal Cancer Institute留学のため休職
  • 1989年6月 同上 復職
  • 1991年5月 東京大学医学部附属病院放射線科講師病棟医長
  • 1991年5月 放射線医学総合研究所特別研究員(重粒子線)
  • 1992年4月 東京大学医科学研究所非常勤講師
  • 1992年11月 総理府技官(放射線医学総合研究所臨床障害部)
  • 1995年7月 東京大学医学部放射線医学教室助教授
  • 2002年4月 国際医療福祉大学保健学部放射線・情報科学科教授
  • 2008年 医療社団法人 愈光会 Clinic C4設立