がんの転移…治療法はどう選べばいい?

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「転移が見つかりました」という言葉は、患者様やご家族にとって、時が止まるような衝撃かもしれません。
しかし、転移の仕組みを正しく知り、現在の医療で何ができるのかを整理することは、後悔のない選択をするための第一歩となります。

転移が見つかった場合、治療の考え方は初期のがんとは大きく変わります。
一方で、「転移=何もできない」でもなく、病状や全身状態によって治療の選択肢や目的は異なります

このページでは、がんの末期・再発・多発転移などで「手立てがない」とされた方に対しても治療を実践されてきたClinic C4(シーフォー)青木院長の見解をもとに、がんが転移したとき、治療法をどう考え、どう選んでいけばよいのかを整理してお伝えします。

転移した場合の治療法は?

がんが転移していました。治療法はどう選べばいいですか?
標準治療では抗がん剤一択、効かなければ緩和ケアという流れが一般的です
青木幸昌院長
Clinic C4
青木幸昌院長

がんの転移が見つかった場合(診断時にすでにある場合や、最初の手術後に現れた場合など)、標準治療のガイドラインでは、抗がん剤を主体とした「全身治療」がほぼ唯一の選択肢となります。

しかし、抗がん剤だけでがんを完全に抑え込める確率は一般に30%程度と言われています。
薬の毒性が強いために治療を続けられなかったり、最初は効いていてもがんが薬に慣れて(耐性ができて)効かなくなってしまったりすることも少なくありません。

そうなると、現在の標準治療の枠組みでは「これ以上できる治療はありません(BSC:緩和ケアのみです)」と言われ、在宅医療やホスピスを勧められることになります。これが、転移が「治りにくい」とされる理由の一つです。

治りにくいというのは本当ですか?
青木幸昌院長
Clinic C4
青木幸昌院長

標準治療の枠組みでは、抗がん剤が効かない場合、「これ以上できる治療がありません」と言われてしまいます。
しかし、全身の状態が良好であれば、元の場所(原発巣)と転移先の両方を放射線などでしっかりと抑え込む「局所制御」と、再発を防ぐための全身治療を組み合わせることで、長期生存を目指せる可能性があります。

がん転移の4つの種類・がんの広がり方と治療法

がんの転移には、4つの種類があります。それぞれの特徴と可能な治療法について整理しました。

1. 浸潤(しんじゅん)

浸潤とは

がん細胞が、最初に発生した組織(原発巣)の境界を越え、周囲の正常な組織や臓器に直接しみ込むように広がっていく現象を指します。
転移とは異なり、局所的な広がりです。

がんがこの浸潤を経て、血管やリンパ管に侵入することで、次のステップである遠隔転移を引き起こす可能性が高まります。
浸潤の深さは、がんの進行度(病期/ステージ)を決定する重要な指標の一つです。

可能な治療法

  • 手術療法
    浸潤したがん組織と、その周囲の正常組織の一部を含めて切除します。浸潤の範囲を正確に見極めることが、再発を防ぐために非常に重要です。
  • 放射線療法
    局所的な広がりを抑える目的で、がん病巣とその周囲に放射線を照射します。
  • 薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など)
    手術の補助療法(術前・術後)として、目に見えない微小な浸潤や転移を抑えるために用いられることがあります。

2. リンパ行性転移
(りんぱこうせいてんい)

リンパ行性転移とは

がん細胞が、原発巣の近くにあるリンパ管に侵入し、リンパ液の流れに乗って移動し、特にリンパ節で増殖して定着する転移です。
転移はまず原発巣に最も近いリンパ節(所属リンパ節)に起こることが多く、そこからさらに遠くのリンパ節へと段階的に広がっていく傾向があります。

リンパ節での転移は、がんが全身に広がる可能性が高まっていることを示します。

可能な治療法

  • 手術療法
    原発巣の切除と同時に、転移が確認された、または転移の可能性があるリンパ節も切除します(リンパ節郭清)。
  • 放射線療法
    手術で取りきれなかった可能性のあるリンパ節、または手術が難しい部位のリンパ節転移に対して照射します。
  • 薬物療法
    リンパ節転移が広範囲にわたる場合や、他の遠隔転移も疑われる場合に、全身療法として行われます。

3. 血行性転移
(けっこうせいてんい)

血行性転移とは

がん細胞が、原発巣の近くの血管(主に静脈)に侵入し、血液の流れに乗って移動し、遠く離れた臓器(肝臓、肺、骨、脳など)に定着して増殖する転移です。

がん細胞が到達しやすい臓器は、原発巣の臓器からの血流経路によって異なります(例:大腸がんは門脈を経て肝臓に転移しやすい)。 遠隔臓器への転移であり、病期は最も進んだステージ(ステージIV)と診断されることが一般的です。

可能な治療法

  • 薬物療法
    全身を巡る血液を介した転移であるため、薬物(化学療法、分子標的薬、免疫療法)を全身に投与する治療が中心となります。
  • 手術療法
    転移巣が単発である、または限られた数であり、切除によって延命や症状緩和が期待できる場合に検討されます(特に肝臓や肺の転移)。
  • 放射線療法
    痛みなどの症状緩和(骨転移など)や、特定部位の転移巣の制御を目的に行われます。

4. 播種性転移
(はしゅせいてんい)

播種性転移とは

がん細胞が、原発巣から直接、体腔内(腹腔、胸腔、髄腔など)にこぼれ落ち、種をまくように広がる転移で、腹膜播種と胸膜播種などがあります。腹水や胸水が貯留する原因となりやすく、多発性になることが多く、広範囲にわたるため治療が難しいとされています。

  • 腹膜播種(ふくまくはしゅ)…胃がんや大腸がん、卵巣がんなどで、腹腔内の膜(腹膜)にがん細胞が広がること。
  • 胸膜播種(きょうまくはしゅ)…肺がんなどで、胸腔内の膜(胸膜)にがん細胞が広がること。

可能な治療法

  • 薬物療法(全身投与)
    広範囲にわたるため、血行性転移と同様に全身療法である薬物療法が基本となります。
  • 腹腔内/胸腔内化学療法
    特殊な治療法として、腹腔内や胸腔内に直接、抗がん剤を投与することで、転移巣に高濃度の薬を作用させる試みが行われることがあります。
  • 腹水・胸水除去
    溜まった水(腹水・胸水)による症状(息苦しさ、腹部膨満感など)を緩和するために、穿刺によって体液を抜く処置が行われます。

がん治療の一般的な原則

上記で示した治療法は、がんの広がり方(転移の種類)によって選択されますが、実際の治療方針は以下の要素を総合的に考慮して決定されます。

  • がんの種類と性質…がん細胞の種類(組織型)や遺伝子の特徴。
  • 病期(ステージ)…がんがどの程度進行しているか(浸潤の深さ、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無)。
  • 患者さんの状態…年齢、体力(パフォーマンスステータス)、他の持病の有無。
  • 治療の目的…根治を目指すのか、または症状緩和とQOL(生活の質)維持を目指すのか。

多くの場合、手術、放射線、薬物療法(化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)を組み合わせて行う集学的治療が標準となっており、転移の種類から、有効的な治療方法を選択します。

Summary
専門家の意見を聞きながら、本人も家族も納得できる治療を探していく

がんが転移していると分かったとき、治療が難しくなるのは事実ですが、それが直ちに「何もできない」ことを意味するわけではありません。転移の広がり方や全身状態によって、治療の目的や選択肢は異なります。

治療法を選ぶ際には、がんの性質や進行度だけでなく、ご本人の体力や生活、何を大切にしたいかを踏まえて考えることが重要です。
一つの説明だけで結論を急がず、専門家の意見を聞きながら、納得できる形を探していくことが、ご家族にとっても大切なプロセスになります。

監修
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医療法人社団 愈光会 Clinic C4では、がんの進行度や転移の状況に関わらず、目に見える病変がある限り、医学的根拠に基づいた放射線治療の可能性を追求しています。
ご家族だけで答えを探し続けるのではなく、標準治療での治療が難しいがん治療のもうひとつの選択肢としてClinic C4に相談してみてください。

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略歴
  • 1980年 灘中学校、灘高等学校を経て東京大学医学部医学科卒業
  • 1980年6月 東京大学医学部附属病院放射線科研修医
  • 1981年1月 東京大学医学部附属病院放射線科助手
  • 1985年7月 都立豊島病院放射線科医員
  • 1987年4月 東京大学医学部附属病院分院放射線科講師病棟医長
  • 1988年7月 同上 英国 Royal Cancer Institute留学のため休職
  • 1989年6月 同上 復職
  • 1991年5月 東京大学医学部附属病院放射線科講師病棟医長
  • 1991年5月 放射線医学総合研究所特別研究員(重粒子線)
  • 1992年4月 東京大学医科学研究所非常勤講師
  • 1992年11月 総理府技官(放射線医学総合研究所臨床障害部)
  • 1995年7月 東京大学医学部放射線医学教室助教授
  • 2002年4月 国際医療福祉大学保健学部放射線・情報科学科教授
  • 2008年 医療社団法人 愈光会 Clinic C4設立