ステージ4の前立腺がんは治る?

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もくじ

ステージ4の前立腺がんは、転移を伴う進行期の状態であり、治療方針は初期がんとは大きく異なります。
一般に治癒を目指すことは難しいとされますが、薬物療法や放射線治療の進歩により、病勢のコントロールや症状緩和を目的とした治療が行われています。

このページでは、ステージ4の前立腺がんの生存率の考え方、治療の基本、転移がある場合の治療方針について、整理してお伝えします。

ステージ4の前立腺がんが治る
可能性はあるのか

ステージ4の前立腺がんは、骨などへの遠隔転移がみられる状態で、完治を目指す治療は困難といえます。
国立がん研究センターの院内がん登録生存率集計結果によると、ステージ4の前立腺がんの5年実測生存率は51.2%、10年実測生存率は27.9%と報告されており、他のがんと比べると10年後の生存率は比較的高めです。

参照元:国立がん研究センターの院内がん登録生存率集計結果(https://hbcr-survival.ganjoho.jp/search)
上記URLより前立腺癌ステージ4で検索、2015年~5年実測生存率、2012年~10年実測生存率の数値。実測生存率は、死因に関係なく、すべての死亡を計算に含めた生存率です。

近年は治療の進歩によって症状をコントロールしながら生活の質(QOL)を保ち、新たな転移の出現を抑えることを目的とした治療も行われるようになっています。病状に応じた治療を継続することで、より長く生活を続けられる可能性は十分にあります。

ステージ4の前立腺がんに対して
行われる治療の種類

内分泌療法(ホルモン療法)

前立腺がんの多くは、男性ホルモンの影響を受けて増殖します。そのため、ホルモンの働きを抑える内分泌療法が治療の基本となり、注射や内服薬によってホルモンの作用を抑制してがんの進行を遅らせることを目指します。

薬物療法

内分泌療法の効果が弱くなれば、抗がん剤や新しい作用機序をもつ内分泌薬が検討されます。
これらの薬剤はがんの増殖を抑えることが目的で、治療効果や副作用の状況を見ながら調整されます。

放射線治療

放射線治療は、骨転移による痛みや神経圧迫などの症状を和らげる目的で行われ、局所の症状を抑えて日常生活を保ちやすくします。全身治療と併用されることも多く、症状の緩和と生活の質の維持につながる治療として位置づけられます。

骨転移に対する治療

前立腺がんでは骨転移が多くみられるため、骨関連事象を防ぐことも治療の大切な要素です。
骨を強化する薬剤を用いることで、骨折や痛みのリスクを軽減することが期待されます。こうした治療は骨転移による合併症を防ぎ、生活の質を保つことが目的です。

緩和ケア

治療内容に関わらず、ステージ4の前立腺がんでは早い段階から緩和ケアを取り入れることが重要です。
痛みや不安、倦怠感などの症状に対して適切な対応を行うことで、治療を続けやすくなります。

ステージ4の前立腺がんが
転移しやすい場所

ステージ4の前立腺がんは、離れた臓器や骨への転移が確認されている状態です。
転移の部位によって症状や治療の考え方が異なるため、転移先を正確に把握することが治療方針を検討する上で重要になります。

骨への転移

前立腺がんで多くみられる転移先が骨です。特に背骨や骨盤、大腿骨、肋骨などに転移しやすいとされています。
骨転移では腰痛や背中の痛み、関節痛などが生じ、進行すると骨折や神経の圧迫によるしびれや歩行障害がみられる場合もあります。
治療は内分泌療法や薬物療法を基本としつつ、痛みや症状の軽減を目的とした放射線治療も検討されます。

リンパ節への転移

前立腺の周囲や骨盤内、腹部のリンパ節にも転移がみられることがあります。
リンパ節が腫大すると、下肢のむくみや違和感が生じます。リンパ節転移は全身治療を中心に進められますが、症状の原因となっている部位に対する局所治療が検討されるケースもあります。

肺や肝臓への転移

前立腺がんでは骨転移が多い一方で、進行すると肺や肝臓に転移がみられることもあります。
こうした転移は無症状のまま画像検査で発見されることもありますが、進行すると息切れや咳、倦怠感、食欲低下などの症状が現れる場合もあります。肺や肝臓への転移が確認された場合も、治療の中心は全身に作用する薬物療法になります。

転移部位に応じた治療の考え方

ステージ4の前立腺がんでは、転移の数や場所、症状の程度によって治療の目的や進め方が変わってきます。
内分泌療法を基本とした全身治療で病勢を抑えながら、生活に支障をきたす症状がある部位には局所治療を取り入れ、日常生活の維持を目指すことが重要です。そのため、定期的な画像検査や血液検査を行い、病状に応じて治療内容を調整していく必要があります。

ステージ4の前立腺がんでも
局所を狙った治療は
検討できる

ステージ4の前立腺がんは内分泌療法を中心とした全身治療が基本となりますが、転移の数や部位が限られている場合や、特定の転移が症状の原因となっている場合は局所を狙った治療が検討されます。
局所治療の代表的な方法が放射線治療で、腫瘍のある部位に放射線を照射し、がん細胞の増殖を抑えることが目的です。特に骨転移による痛みや神経圧迫など、生活の質を大きく下げる症状の軽減が期待できます。

近年は画像診断技術の進歩が目覚ましく、従来よりも高精度な放射線治療が可能となっています。
そのひとつが「トモセラピー」で、CT画像を用いて腫瘍の位置や形状を詳細に把握しながら放射線を照射する治療法です。複数方向から放射線を当てることで周囲の正常組織への影響を抑えつつ、標的とする病変に十分な線量を集中させるのが大きな特徴です。
前立腺がんでは、骨転移やリンパ節転移といった形状が複雑な病変に対しても、照射計画を工夫することで治療の検討が可能です。

こうした局所治療は内分泌療法や薬物療法と並行して行われることも多く、全身治療を続けながら症状の改善や局所制御を目指せます。治療の適応は、転移の状況や全身状態、これまでの治療経過などを踏まえて総合的に判断されます。

相談先の選び方

ステージ4の前立腺がんは治療が長期にわたることも多いため、継続的に相談できる医療機関を選ぶことが重要です。
重視したいのは、次のポイントです。

  • 前立腺がんの診療経験が豊富で、内分泌療法や薬物療法、放射線治療、緩和ケアまで含めた対応が可能か
    進行がんの治療に慣れている医療機関では、病状の変化に応じた現実的な治療選択を提示してもらえるでしょう。
  • 検査結果や治療方針について、わかりやすく丁寧な説明が行われているか
    前立腺がんは治療の効果や副作用、生活への影響を踏まえながら療養を続けていく必要があるため、疑問や不安をその都度相談できる体制が整っていれば安心です。
  • 通院のしやすさやサポート体制
    治療と生活を無理なく両立できる相談先を選ぶことが、治療を続ける上での大きな支えになります。

治療方針に迷いがある場合には、セカンドオピニオンを活用すると別の視点から治療の考え方を整理できるかもしれません。

Summary

前立腺がんは、完治を目指すことが難しい段階であっても、治療の進歩によって症状をコントロールしながら長期にわたって生活の質を保てるケースも多い病気です。

治療の目標や優先順位は、病状や体調の変化に応じて少しずつ変わっていきます。医療者と十分に相談しながら、ご本人の思いや生活を大切にし、その時点で無理のない治療やサポート方法を一緒に選んでいくことが、ご本人にとってもご家族にとっても大きな安心感につながります。

監修
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医療法人社団 愈光会 Clinic C4では、がんの進行度や転移の状況に関わらず、目に見える病変がある限り、医学的根拠に基づいた放射線治療の可能性を追求しています。
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略歴
  • 1980年 灘中学校、灘高等学校を経て東京大学医学部医学科卒業
  • 1980年6月 東京大学医学部附属病院放射線科研修医
  • 1981年1月 東京大学医学部附属病院放射線科助手
  • 1985年7月 都立豊島病院放射線科医員
  • 1987年4月 東京大学医学部附属病院分院放射線科講師病棟医長
  • 1988年7月 同上 英国 Royal Cancer Institute留学のため休職
  • 1989年6月 同上 復職
  • 1991年5月 東京大学医学部附属病院放射線科講師病棟医長
  • 1991年5月 放射線医学総合研究所特別研究員(重粒子線)
  • 1992年4月 東京大学医科学研究所非常勤講師
  • 1992年11月 総理府技官(放射線医学総合研究所臨床障害部)
  • 1995年7月 東京大学医学部放射線医学教室助教授
  • 2002年4月 国際医療福祉大学保健学部放射線・情報科学科教授
  • 2008年 医療社団法人 愈光会 Clinic C4設立